“To know the world one must construct it. ”
しばらく前に,アラン・ケイのことを調べたとき,”A Personal Computer for Children of All Ages”(Aug. 1972)という文書に出会った。この文書はアラン・ケイが Dynabook のアイデアについて書いたもので,計算機の歴史の中で重要な文献の一つである。日本語訳もネットで作られている。
“To know the world one must construct it. “
は,この文書の冒頭にあるAbstractの部分に書かれている。Paveseの言葉であるとのことだ。アラン・ケイの文書も興味深いものであったが,このPaveseの言葉は妙に説得的で,印象に残った。それ以後,これは私の好きな言葉の一つになった。”the world” を文字通り,我々の現世の世界と解釈すると,この文は哲学的な深みを持つものになるが,比喩としてみると,通常よくある状況に対する言葉にもなる。Paveseは前者の意味で言ったかもしれないが,私は後者の意味に解釈して,教訓的言葉として使わせて貰うことにしている。
その後注意していると,この言葉はしばしばネットでも目にする言葉であり,有名なものであるらしい。Paveseはイタリアの詩人なので,元々はイタリア語で書かれていたものであろう。そう思うと,原語での表現を知りたくなった。と同時に,どんな文脈で語られたのだろうとも興味を持った。しかし,調べてみるとどうも出典が確かでないようだ。WikiquoteのTalk:Cesare Pavese: Unsourcedの項に載っていて,この言葉に関連する確かな出典は,アラン・ケイの上記の文献であった。Wikiquoteによれば,出典が不明なPaveseの言葉とされるものが数多くある。
このような訳で,原語での言葉を知ることも,語られた状況を知ることもできなかった。しかし,この言葉が好きな言葉であることは変わらない。取り敢えずは,「サーバーのことを知るために,サーバー構築」を進めよう。